
学術と日常をつなぐ
2016
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芋づる式に広がってきた関心の軌跡
なぜ人は不平等な立場に置かれるのか
教育格差、就活、メリトクラシー。個人の成功や失敗を「自己責任」で片づけてしまう社会への違和感がすべての出発点だった。教育格差が経済格差に直結する構造、新卒一括採用という「たった一度のチャンス」に翻弄される若者たち、そして「能力」という概念そのものが社会的に構成されているという指摘に衝撃を受けた。苅谷剛彦、本田由紀、中村高康らを読み漁り、教育と社会階層の関係にのめり込んだ。ここから芋づる式に読書が始まる。
「普通の家族」って本当に普通なのか
教育格差を掘り下げていくと、その背後にある「家族」のかたちに突き当たった。落合恵美子『21世紀型家族へ』で、私たちがイメージする「普通の家族」が実は産業構造の変化が生んだ歴史的に特殊なものだと知り、常識が崩れた。家事・育児「だけ」をする「主婦」は近代の発明であること、戸籍が家制度を実質的に現代まで残していること、結婚や恋愛の規範がいかに私たちの生き方を制約しているか。事実婚、シングル、養子縁組など、家族の多様なかたちを問い続けている。
「正常」とは誰が決めたのか
家族を問ううちに、結婚や性別役割の背後にあるジェンダーの非対称性が浮かび上がった。フェミニズム理論で「女性」というカテゴリーの解体に挑む竹村和子に唸り、クィア理論では「正常」とされるセクシュアリティそのものへの異議申し立てに目を開かれた。「寛容とは、差異に価値を十分に与えることなく差異と表向きの共生を可能にするような差別の一形態である」という一節に震えた。ポスト・フェミニズムの陥穽、男性学、インターセクショナリティへと関心は広がり続け、50冊以上を費やしてなお現在進行形の、読書全体の中で最も大きな幹。
差別はどこで、どのように起きているのか
ジェンダー・セクシュアリティの問題を考えるうちに、差別という現象はひとつの軸だけでは捉えられないことに気づいた。障害の「社会モデル」——障害は個人の身体にではなく社会の側にあるという考え方——は、それまでの読書で培ってきた視点と深く響き合った。また、差別を「される側」だけでなく「する側」を研究対象にする視点にも出会い、差別がどのような構造の中で再生産されているのかを横断的に考えるようになった。
どうすれば他者の生を理解できるのか
読書の初期から通奏低音のように流れてきた関心。社会の問題を本で読むだけでなく、「どうやって社会を知るのか」という方法そのものへの問い。とりわけ岸政彦の「他者の合理性」——多くの人には理解しがたい他者の行為にも、その人なりの合理性がある——という考え方は、無理解が生む自己責任論を解体しうるものとして深く胸に刺さった。佐藤郁哉のフィールドワーク論、桜井厚のインタビュー論で、調査者自身の権力性や「聞く」姿勢を猛省しながら、社会を知る方法を問い続けている。
そもそも「社会」とは何なのか
教育や家族といった具体的なテーマを読み進めるうちに、そもそも「社会」とは何なのかという根本的な問いにぶつかった。デュルケムは社会を個人から切り離された外的な「物」と捉え、ヴェーバーは個人の行為の集合から生まれる「意図されない結果」と見なし、ジンメルは相互作用の網の目として描いた。構築主義との出会いも大きく、私たちが当然だと思っている概念やカテゴリーが、実は社会的に構成されたものにすぎないという視点は、その後のすべての読書の土台になった。
社会は「どうあるべきか」
社会学は社会の「ありのまま」を記述する。だが、不平等や差別を目の前にしたとき、「ではどうあるべきか」という規範の問いを避けては通れなくなった。功利主義と義務論の対立を学び、メタ倫理学では「道徳は発見されるのか、創造されるのか」という問いに引き込まれた。ロールズの正義論と社会契約論で「ゼロから社会を構想する」思想に感動し、法哲学ではハート対ドゥオーキンの論争——法の欠缺を認めるか否か、裁判官は法を「創造」するのか——に深入りして、「法とは何か」という問いに魅了された。
国家はなぜ市民の生活を支えないのか
教育や家族の問題を掘り下げていくと、国家がどのように市民の生活を支えてきたのか——あるいは支えてこなかったのか——という問いに行き着いた。日本は雇用を通じた生活保障に偏重し、正規雇用や婚姻から外れた人を切り捨ててきた。その雇用レジームを小泉政権が壊し、福祉レジームも縮減され、両方が弱った状態が今も続いている。宮本太郎の「ライフ・ポリティクス」、田中拓道の「政治的機会構造の開放性/閉鎖性」という概念に目を開かれ、社会保障を政治の文脈で考えるようになった。
なぜ戦争は止められないのか
2022年、ロシアのウクライナ侵攻が直接のきっかけだった。善悪の判断だけでは見えない歴史の複雑さに気づき、16世紀から現代までの国際政治史を一から学び直した。素朴に「正しい」と思っていたものが揺らいでいく経験。パレスチナ問題では岡真理のエッセイに衝撃を受け、国際人道法、安全保障論、ロシアの法と政治体制まで手を伸ばした。私たちの無知と無関心が何を可能にしてしまうのかを突きつけられた。
この国はなぜこうなっているのか
福祉政治や国際政治を学ぶうちに、自分が暮らす日本の政治をまともに知らないことに気づいた。なぜ投票率は低いのか、利益団体はどのように政策に影響を与えているのか、リベラルとは何を意味するのか。外から世界を見る目を養った分、足元を見つめ直す必要を感じて、日本の政治過程や政治行動を正面から学び始めている。
社会の仕組みを動かしているものは何か
福祉政治や社会政策を考える上で、経済の仕組みを避けては通れなかった。金融政策がどう生活に影響するのか、自由貿易は誰を豊かにし誰を追い詰めるのか。マーケティングやサービスデザインなど、企業が社会に与えるインパクトにも関心を広げてきた。
社会の構造だけでなく、個人の内面にも目を向ける
社会の構造や制度を学んできたが、そこに生きる一人ひとりの心はどうなっているのか。2024年から急速に読書量が増えた分野。感情のメカニズム、性格とは何か、カウンセリングの現場で何が起きているのか、加害者の心理にどう向き合うのか。人の心という温度感のあるものを冷静に見つめる学問に、冷静に見つめるからこそ見えるものがあると気づいた。社会を変えるだけでなく、目の前の人をどう理解するかという問いが加わった。
※ この読書遍歴は、読書記録データをもとに生成AIが作成したものです
円サイズ=蓄積量、線=同じ本で共起した関係、色=ピーク年(青い=古くから、橙い=最近)
全321冊
| タイトル | 著者 | 分野 | 読了年 ↓ | ページ |
|---|---|---|---|---|
| 誤解を招いたとしたら申し訳ない政治の言葉/言葉の政治 | 藤川直也 | 哲学・倫理学 | 2026 | 344 |
| はじめての日本国債 | 服部孝洋 | 経済学 | 2026 | 272 |
| 消費税と政治 | 上川龍之進 | 政治学 | 2026 | 377 |
| 生活史の方法 | 岸 政彦 | 社会学 | 2026 | 304 |
| 「気が利く」とはどういうことか | 唐沢かおり | 心理学・認知科学 | 2026 | 224 |
| 曖昧な弱者の時代 | 伊藤昌亮 | 社会学 | 2026 | 220 |
| アメリカはなぜイスラエルを支援するのか : 揺れ動くまなざしの歴史 | 佐藤雅哉 | 政治学 | 2026 | 346 |
| 差別・マイノリティ | 北田 暁大/岸 政彦/筒井 淳也/丸山 里美/山根 純佳/金菱 清 | 社会学 | 2026 | 290 |
| 家(チベ)の歴史を書く | 朴沙羅 | 社会学 | 2026 | 384 |
| アメリカ大統領選 | 久保文明/金成隆一 | 政治学 | 2026 | 254 |
誤解を招いたとしたら申し訳ない政治の言葉/言葉の政治
はじめての日本国債
消費税と政治
生活史の方法
「気が利く」とはどういうことか
曖昧な弱者の時代
アメリカはなぜイスラエルを支援するのか : 揺れ動くまなざしの歴史
差別・マイノリティ
家(チベ)の歴史を書く
アメリカ大統領選